「派手な広告」「金をかける」「相手を言い負かす」
これらはすべて高度成長期に当たり前となっていたセールス活動です。しかし新時代のセールス活動はこれらのまったく逆の方法をとるべきなのです。
1998年のバブル崩壊。高度成長期という異常な熱をもった時代に終わりを告げた瞬間でした。このときを境に、日本はまったく違った価値観をもった社会へ生まれ変わり始めたのです。
変化の一つが、人が物を買うという仕組み。高度成長期にはみんなお金がありました。
ですから作れば売れました。こういう時代にはとにかく「頑張る」。余計なことを考えずにとにかく売る。レジに大勢の行列ができているので、革新的なことを進んでやるということはあまり必要ではありませんでした。
ですから、みんながやっているような「派手な広告」「金をかける」「相手を言い負かす」を自分の会社でもやっていたのです。
しかし時代は大きく変わりつつあります。消費者は賢くなりました。下手な買い物はしないと、財布を硬く閉じています。この財布を開いていただき、満足した上でご購入いただく。
消費者は売り込みを恐れています。人間は、人には嫌われたくないという本能があります。それは生物が生きていくために必要な「能力」です。そうすることで危機に直面する確率が激減するためです。
誰しも断るのは嫌なのです。断るということはリスクがとても大きい作業なのです。ですから、人は深く売り込まれる前に拒否反応を示すという「水際で食い止める作戦」を決行します。
「売ろうとすれば買ってくれる」という時代から「売ろうとすれば断られる」時代へと変わってしまったのです。ではどうすれば買ってもらえるのか。答えは、
売らない
入力間違いではありませんよ。「売らない」のです。だって売り込まれるのが嫌なのですから、そうするしかありませんよね。
「売り込み」という言葉は間違いだと気づくべきです。「売り込み」というのは売る側からみた、実に自己中心的な発想だと思いませんか。「相手に喜んでいただきその対価としてお金をいただく」という商売の基本をもう一度見直す時がやってきたのです。
では具体的にはどうすればよいか。それは
「よき相談相手になる」
これしかありません。
今日からあなたは「相談相手」です。儲けをいったん忘れて、お客が困っていることに対してアドバイスを与える人になってください。そうするとお客は、悩みの解消のためにあなたとの接触を好むようになります。あなたからの電話やメールや訪問を心待ちにすることでしょう。
まずはこういった信頼関係を築くことから始めるのです。すべてはそれからです。信頼関係ができるまでは絶対に売り込みはしないでください。信頼関係ができて、お客の悩みを解消するための一つの方法としてあなたの商品を売るのです。すべてはお客のためです。
売り込まないということはとても勇気がいることです。資本主義ではお金が大きなパワーをもっています。お金をいただく人、つまりお客が目の前にいて売り込むことをしないというのは、かなり難しいことです。しかし目の前の利益にとらわれてはいけません。
前述したように、人は売り込まれることを嫌います。しかし、以下のようにすることで、お客はあなたから「ぜひ買いたい!」と思うようになります。それは、
買っても買わなくてもどっちでもいいよ
これがポイントです。
想像して見て下さい。AとBという二つの店があったとします。取り扱っている商品と外観は同じです。
Aという店にはお客がいません。しかし販売員が大勢います。そして「いらっしゃい、いらっしゃい」と売り込みをしています。
Bという店にはお客がたくさんいます。しかし販売員はほとんどいません。販売員は、お客から聞かれた場合だけ適切なアドバイスをしてくれます。
さぁ、どっちから買いたいと思いますか。Bですよね。売れているお店にはお客が常にいます。ですからBは売込みをする必要がありません。これを同じことをやるのです。
「あなたに買ってもらわなくても別にいいですよ。だって他に買ってくれる人は大勢いるんですから。」
こういうスタンスでいてください。そうするとお客は、あなたの商品は大勢の人が買いたいと思っていると錯覚し、急に欲しくなります。そしてこう思います。
「多少高くても手に入れたい!!」とね。